■ 通所介護事業における実地指導での主な指摘事項
私の顧問先やご依頼頂く中で、秋から冬にかけて役所の実地指導が行われることが多いと感じています。
今年もこれから数社において、実地指導の立ち合いをご依頼頂いております。
そこで今回は、通所介護事業所における実地指導での主な指摘事項をまとめてみました。
1.手続きの説明及び同意について
あらかじめ利用申込者又はその家族に、運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、その他の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を記した文書(重要事項説明書)を交付して説明を行い、サービスの提供の開始について利用申込者の同意を必ず得てください。重要事項説明書の作成について、特に注意していただきたい点は、次のとおりです。
・いつ時点のものか分かるように「平成○年○月○日現在」と表記。
・表記された日現在の従業者の員数等を実数で記載。
・利用料金を正しい額で記載。1割負担、2割負担、3割負担の額を記載。
・運営規程の内容との整合(営業日や休業日、営業時間、サービス提供時間、通常の事業の実施地域を越える場合の交通費、日常生活費の内容・金額などで、一致しないものが見受けられます。)
2.掲示について
「運営規程」や「重要事項説明書」は、事業所内の見やすい場所(玄関、受付等)に掲示してください。
なお、「運営規程」や「重要事項説明書」をそのまま掲示すると細かくて読みにくいため、できるだけ読みやすくなるよう工夫してください。
掲示している「運営規程」や「重要事項説明書」は、常に最新のものとしてください。
3.「通常の事業の実施地域を越える場合の交通費」の記載内容について
利用者に通常の事業の実施地域を越える場合の交通費(移動に要する実費)について負担を求める場合は、その内容及び金額を「運営規程」及び「重要事項説明書」に記載してください。起算点は、「事業所」からではなく、「通常の事業の実施地域を越えた地点から」としてください。
4.日常生活費の利用者負担について
次のような日常生活費について利用者に負担を求める場合があります。
○日用品費:身の回り品として日常生活に最低限必要と考えられる物品(歯ブラシ、化粧品、シャンプー、タオル等)に係る費用
○教養娯楽に係る費用:サービス提供の一環として実施するクラブ活動(例えば、習字・お花・絵画・刺繍等のクラブ活動等)や行事における材料費等
日常生活費について、特に注意していただきたい点は、次のとおりです。
・負担を求める日常生活費の内容が、保険給付の対象となっているサービスと重複しないこと。
・保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用(お世話料、管理協力費、共益費、施設利用補償金等)の徴収は認められないこと。
・対象となる内容は、利用者又はその家族の自由な選択に基づいて行われるもので、利用者又はその家族に十分な説明を行い、同意を得なければならない。(よって、すべての利用者に対して一律に提供し、すべての利用者からその費用を画一的に徴収することは認められない。)
5.サービス提供の記録について
サービスの提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録し、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があった場合には、利用者にその情報を提供してください。また、サービス提供の記録には、サービス提供の開始時刻と終了時刻も利用者ごとに記載してください。このほか、各種加算を算定する場合にも、記録の整備が要件となっているものが少なくありませんので、注意してください。
6.勤務体制の確保について
原則として月ごとの勤務表を作成し、従業者の日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、専従職員の配置、兼務関係などを明確にしてください。特に、兼務している場合などは、それぞれの職種ごとの勤務状況を分けて記載してください。
雇用契約の締結に際しては、常勤職員・非常勤職員ともに、労働基準法に基づき、賃金・労働時間等の労働条件を書面の交付により、明示することが必要です。
7.人員配置について
人員基準に基づき、人員配置してください。
必要な人員が満たされていない場合、介護報酬の減算になる場合がありますので、適切な人員配置をお願いします。”
8.従業者の秘密保持について
従業者が利用者又はその家族の秘密を漏らさないことについては、就業規則の中で規定したり、雇用契約や労働条件通知書の中に盛り込んだり、別途、誓約書等を徴してください。誓約書について、特に注意していただきたい点は、次のとおりです。
・秘密保持の対象が、「利用者又はその家族の個人情報」であることが明確になっていること。
・在職中だけでなく、退職後においても、秘密保持する旨が明記されていること。
・常勤職員だけでなく、非常勤職員やパート職員からも誓約書を徴すること。
9.個人情報利用同意書について
個人情報利用同意書は、「利用者」及び「家族の代表」の同意を得てください。
個人情報利用目的については、特定し明記すること。
10.身体拘束について
身体拘束は、切迫性、非代替性、一時性の3つの要件を満たし、適切な手続きをとったときに限り認められます。身体拘束を行っている場合には、「身体拘束廃止委員会」の設置や身体拘束廃止マニュアルが必要です。また、身体拘束を行っていない場合でも、委員会やマニュアルの作成については日頃から検討してください。
11.個別サービス計画の作成について
サービスを提供するに当たっては、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、目標及びその目標を達成するための具体的なサービスの内容等(曜日、時間を含む)を明確に記載した個別サービス計画(通所介護計画書等)を作成してください。
既に、居宅サービス計画が作成されている場合は、居宅サービス計画に沿って作成してください。
個別サービス計画の内容は、利用者又はその家族に説明し、利用者の同意を得るとともに個別サービス計画を利用者に交付してください。計画を変更する場合も同様です。
上記全て重要ですが、特に請求に関わる部分(人員基準や定員超過、計画書の未作成等)がないか、いつも確認するようにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。