■障がい福祉サービス事業におけるBCP自然災害の研修と訓練の進め方について
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は、障がい福祉サービス事業におけるBCP自然災害の研修と訓練の進め方についてお伝え致します。
BCPにおいては研修と訓練を定期的に行い、計画書の見直しをすることが必要ですが、どういった流れで進めていけばよいか、悩むことが多いと思います。
そこで今回は一般的な進め方と議事録の残し方についてお伝え致します。
○研修・訓練を運営するためのステップと考え方
研修・訓練を実効性あるものにするためには、次のような順序と工夫が必要です。
1.推進体制・委員会の設置
BCP・災害対策委員会や防災担当者を置き、定期的に計画の見直しを議論する。
2.職員研修(座学形式)
BCP の基本的な考え方、災害被害想定、対応手順、役割分担などを学ぶ研修を行う。全職員参加を原則とする。
3.机上訓練
まずは小規模・低負荷の訓練(計画通りに動くか想定してディスカッション形式)を行い、課題をあぶり出す。
4.部分実動訓練
特定の想定(例:夜間地震・火災+停電)で、利用者誘導、非常用電源起動、通信確保など、限定的な演習を実施。
5.総合訓練
初動から復旧までを通して実施。利用者を巻き込む訓練や、近隣施設・地域との共同訓練も検討。
6.評価・反省会
訓練後、関係者から振り返りを行い、課題・改善点を洗い出す。議事録を残す。
7.BCP 更新
訓練を踏まえて、想定・手順・資材備蓄などを見直し、改訂する。
8.定期化・周知
研修・訓練は年2回以上(共同生活援助では特に)など定期的に実施。新規採用者には初期研修を行う。
また、BCP・手順書を職員がいつでも参照できるようにする。
9.記録・議事録・報告
訓練記録、発言記録、評価・改善案、対応履歴などを文書化して保存。
10.外部連携・合同訓練
地域密着型の共同訓練で、自治体・消防・他施設との連携を確認。
○議事録・記録の構成と参考項目
研修・訓練後に作成する議事録・記録には、以下のような構成・内容を含めておくとよいでしょう。
(議事録・訓練報告書の基本構成例)
1.開催日時/場所
2.出席者(氏名・役職・所属)
3.目的・趣旨
4.想定シナリオ・訓練内容(前提条件、進行手順)
5.各担当者の役割と動き(誰が何をしたか)
6.実施結果(良かった点・想定通り動いた部分、想定外/問題が生じた部分)
7.発見された課題・リスク・改善点
8.改善策(次回に向けてどのように修正するか)
9.今後のスケジュール・見直し予定
10.署名・承認(責任者名・承認印等)
11.添付資料(訓練フロー図、配布資料、写真、チェック表など)
(細かい記録項目例)
・訓練開始・終了時間
・想定災害条件(例:「震度6強、夜間停電、施設外壁破損」など)
・避難誘導時間、誘導経路、誘導所要時間
・通信手段使用状況(携帯・無線など)
・備蓄物資取出所要時間
・非常用電源起動確認時間
・利用者(模擬)・職員の反応や動き
・見落とし・混乱した点、生じた「想定外」
・各担当者からの意見・改善案
・訓練の満足度・感想(アンケートなど)
このような記録を残しておくことで、次回の訓練や BCP の見直し時に役立ちます。
また、自治体や指導監督機関において実地指導を受ける際にも、訓練記録を整備しておくことは重要です。
以上、参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。
