■就労継続支援事業等の就労系障害福祉サービスにおける在宅利用の場合の運営規程等変更について
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は就労継続支援事業等の就労系障害福祉サービスにおける在宅利用の場合の運営規程等変更についてご案内です。
東京都の場合ですが、就労系障害福祉サービス(就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型)における在宅でのサービス利用についてはこれまでは臨時的取り扱いでしたが今後は常時扱いに変更となり、それに伴い運営規程等の変更届の提出が必要となっております。
就労継続支援事業等行っている事業所様で利用者様が在宅での支援をしている場合には、必ず変更届を提出するようにしましょう。東京都では6月30日が提出期限となっております。
以下運営規程の記載例と変更届提出時に必要なチェックリストの記載内容です。
運営規程の追加文章案
在宅でのサービス提供
利用者に在宅利用に適した支援プログラムや生産活動等を提供する。また、利用者との連絡体制の構築や、関係機関との連携を行い、利用者の希望や心身の状況等に応じた支援を実施する。(在宅における利用要件については、別紙「在宅でのサービス提供実施に係るチェックリスト」のとおり)
※ 在宅でのサービス利用を希望する対象者であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると区市町村が判断した方がいる場合に限る等。
在宅でのサービス提供実施に係るチェックリスト記載内容
1.在宅で実施した訓練内容及び支援内容並びに訓練状況及び支援状況を都から求められた場合には提出できる。その際、訓練状況及び支援状況について、在宅利用者の同意を得るなど、適切な手続きを経た上で、音声データ、動画ファイル又は静止画像等をセキュリティーが施された状態で保存し、都から求められた場合には個人情報に配慮した上で、提出する。
(観点)
・利用者とのサービス利用契約書あるいは重要事項説明書でも在宅訓練・支援を実施する旨を明記すること。ICTを使わない生産活動を在宅で行う場合等でも、毎日の生産活動の進捗状況や実施結果の記録、日々の連絡・助言等の記録については、確実に残しておくこと。
2.職員が在宅訓練・支援の環境を整えるために必要な知識を身に付けていること。
(観点)
・利用者とのきめ細かな連絡・フォローのため、チャットやリモート会議アプリ、協働作業アプリ等のコミュニケーションツールを活用する場合、こうしたツールの取り扱いに個々の職員が習熟しておくこと。また、研修受講などにより支援者はPC作業等の基本的なスキルを身に着けること。
3.在宅でのサービス利用であっても、定期的な通所が必要であるため、各サービス種別に求められる通常の設備基準を満たしていること。
(観点)
・定期的な通所が必要であることに加え、利用者同士の集まりも有意義であることから、常時来所を受け入れられる空間が重要である。設備面積等の減少はせず、利用者の通所による利用希望に対応できる環境・設備を整え、通常の定員にあわせた設備を確保・維持すること。
4.在宅でサービスを利用するに当たって必要な在宅利用者の自宅等の環境整備として、作業等に適したスペース・周辺環境の確保等に加え、通信端末や機器、回線の確保、コミュニケーションツールの導入、作業に必要な機器・道具の準備がされていること。
(観点)
・通信機器やコミュニケーションツールについて、利用者が連絡・質問に消極的になることのないように、普段使い慣れている機器・方法の活用や、簡便に使用できるものを選ぶこと。
・在宅利用者が集中できるよう、室内間仕切りの設置により他のものが目に入らないようにする、人の出入りが少なく生活雑音などが響きにくい場所を選ぶといった対策をとること。
・企業等からの発注を受けて生産活動を実施する場合は、企業等との契約において作業内容や製品に関する情報等の秘密保持に関する条項が含まれていないかを確認し、秘密保持に必要な環境整備をすること。利用者の作業環境について最大限対応可能な方策をあらかじめ発注元企業等に伝え、秘密保持の履行の担保等について協議した上で対策をとること。
・日々の訓練のための環境確保、生活状況や健康状態の把握に際して、利用者の家族の他、相談支援事業所や利用者が利用している他のサービスの事業所の職員から普段の生活の様子・課題・困りごとを共有し、連携して対応していくことで、より安定した訓練等に取り組めるようにすること。
5.就労の機会を提供するとともに生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援が行われるとともに、常に在宅利用者が行う作業活動、訓練等のメニューが確保されている。
(観点)
・長時間の学習活動は集中力を要し負荷が高まることも懸念されるため、午前/午後や曜日単位で通所と組み合わせることにより、心身のリフレッシュも兼ねたよりメリハリのある学習・訓練になる場合があることを考慮する。
・生産活動について、新たなものを探すだけでなく、既存の受注に際して、取引先から委託を受けた業務を在宅で実施できるよう取引先と交渉し運用方法を見直すなどの対応を行う。
・様子を逐次見ながら細かく指示をするといったことが難しくなるため、利用者間の連携体制・ルールづくりだけではなく、作業や業務の内容をより細かく分解・再定義すること。(対面して指示していた内容を手順書やリストとして言語化・明確化しておくこと。)
・部品の製造や製品の組み立て作業等の場合、生産・組立数のノルマを1日単位ではなく数日~1週間単位とするよう調整し、通所時に成果物を持参してもらい職員を通じて他の利用者に引き渡すなど工夫をすること。
・あらかじめ一定の欠員や能率の低下が出ることを想定し、全体の作業・業務量を設定、1週間等の長い期間で個々の利用者の作業・業務量の振り分けといった対策に加え、個々人の特性に応じた割り振りの調整、よりこまめな進捗確認の実施など、密な支援を行うこと。
・企業等からの発注を受けて生産活動を実施する場合は、企業等との契約において作業内容や製品に関する情報等の秘密保持に関する条項が含まれていないかを確認し、秘密保持に必要な環境整備をすること。利用者の作業環境について最大限対応可能な方策をあらかじめ発注元企業等に伝え、秘密保持の履行をどこまで担保するか等について協議した上で対策をとること。
・在宅雇用の形態での就労移行を目指す在宅利用者については、状態だけでなく自宅における就業環境についても的確に把握した上で関係機関や企業との連絡調整を行うこと。
6.1日2回の連絡、助言又は進捗状況の確認等のその他の支援と日報の作成に加え、作業活動、訓練等の内容等に応じ、1日2回を超えた対応が可能である。
(観点)
・職員は、より利用者の支援に注力するとともに、進捗管理のスキル向上を図ること。
・密な連携を図り適時な支援を行うため、リモートでも職員との対話・相談をしやすい雰囲
気づくりに努め、自ら意思を表現するのが苦手な利用者に対しては、こまめな進捗確認を行うとともに問題がないかを職員の側から積極的に問いかけること。
・より頻度・密度の高い連絡・対話が必要となるため、利用者にその日の健康状態や睡眠時間、活動内容を日報として記載してもらい、毎日の訓練前後に職員と利用者がリモート会議ツールの画面共有機能を使ってマンツーマンで面談を行うなど、工夫をすること。
7.緊急時の対応ができる。
(観点)
・利用者の急変といった緊急時の対応手順や連絡先、利用者からの連絡・相談窓口と対応フローをあらかじめ整理し、職員・利用者に周知しておくこと。
・事業所による定期訪問や緊急時訪問ができる地域であり、在宅利用者の居住地域と事業所の距離は極端な遠隔でないこと。
8.疑義照会等に対し、随時、訪問や連絡による必要な支援が提供できる体制を確保している。
(観点)
・利用者の訓練等の状況が常に見えるわけではないことから、きめ細かな状況確認が必要となるため、利用者自身が不明点や不満を表現しにくい場合も想定し、個別に連絡・フォローができるよう体制を整えておくこと。
9.事業所職員による訪問又は在宅利用者による通所又は電話・パソコン等のICT機器の活用により、評価等を1週間につき1回は行うこと。
(観点)
・日々の体調変化のフォローや訓練の取組状況、困りごとの把握、現在実施している訓練や作業に関する評価を行うこと。
・通常の訓練・作業等の連絡以外に、1日1回~数回・数分程度、利用者と個別に話す時間を設け、リモート会議ツール等で双方顔の見える状況で話をすることで、訓練の効果や作業の進捗をより把握しやすくするとともに、利用者の安心を確保すること。
・在宅でのサービス利用に切り替える・導入するに際しては、生活・就労リズムの維持といった事業所での通所支援における訓練・就労以外の効果や意義を再整理し、個々の利用者に応じた対策をとること。
10.原則として月の利用日数のうち1日は事業所職員による訪問又は在宅利用者による通所により、在宅利用者の居宅又は事業所内において訓練目標の達成度の評価等を行うこと。
(観点)
・個別支援計画に在宅でのサービス利用による支援目標、支援内容が明記され、個別支援計画のモニタリングの機会等で実施効果を定期的に評価し、見直しを行うこと。
・利用者からの申告内容や作業報告から客観的に訓練の進捗具合を把握できるよう、評価の客観化・変化の可視化ができる評価ツール等を活用し、在宅でのサービス提供を実施する前の生活面や健康面まで情報を確認しておくこと。
・訓練全体としての効果や目標との比較、時間の経緯に沿った変化などを確認すること。
・訓練目標は、日常生活や行動・態度といった一般的な項目の他に、個々人の担当作業にまつわる具体的な習得目標を掲げること。
・在宅でのサービス利用に切り替える・導入するに際しては、生活・就労リズムの維持といった事業所での通所支援における訓練・就労以外の効果や意義を再整理し、個々の利用者に応じた対策をとること。(再掲)
・在宅利用者が在宅訓練に不安を感じないよう、丁寧な説明や声かけにより、不安を取り除くこと。
11.9が通所により行われ、あわせて10の評価等も行われた場合、10による通所に置き換えることがある。
以上、参考になりましたら幸いです。
それでは最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。