■介護事業や障害福祉サービス事業における事業譲渡の注意点
こんにちは。行政書士の浅井です。
今回はM&Aや法人がえなどで事業を譲渡する又は譲渡される場合の注意点についてお伝えしたいと思います。
実際には他にもたくさん注意点はございますが、一般的なものをお伝えします。
以下の点にご注意ください。
1.行政の認可を再度受ける必要がある。
事業譲渡の場合、売手側は事業所の廃止届を提出し、買手側ですべての事業所ごとに新規指定を申請する必要があります。そのため、既存の事業とはいえ認可を取り直す必要がありますので、諸手続きに時間がかかります。
また、場合によっては建築指導課や都市整備課、消防署など関係官公署へも書類の提出が必要な場合もございます。
2.各契約関係の締結し直し等
事業譲渡の場合、各契約を全て買手側に契約しなおす必要があります。例えば、従業員の雇用契約、利用者との利用契約、不動産の賃貸借契約、水道などのインフラ関係など様々な契約を締結する必要がございます。
事業所が複数の場合、事業所の数だけ契約の再度締結等が必要になりますので、要する期間が多くなります。
また指定事業所番号も新しい番号になるため、国保連への請求など、請求内容等について事業所の設定を改めて行う必要があります。
利用者の便宜上、廃業から新規指定まで空白期間がないようにすることが想定されますが、その場合、その切り替え時期はかなり事務の方の労力がかかることが考えられます。
3.加算の見直し
特定事業所加算など、運営期間が要件に入っている加算については、事業を譲り受けた時点で、運営期間がリセットされるため、加算が取れなくなってしまいます。買手は、譲り受ける前に、加算の見直しが生じるか、確認することが必要です。
4.人員基準や設備基準の確認
新規指定と同じなので、人員基準、設備基準など全ての基準要件を満たせていることが必要です。また新規申請時と同様、役所の現地調査があります。
現在も要件を満たせているのか確認が必要です。
5.担当の役所について
申請窓口は都道府県の場合と地域密着型などについては市などが窓口になります。
そのため、都道府県と市にそれぞれ申請が必要です。
6.過去の申請書類の確認
指定申請にあたっては、図面など過去の申請書類を援用することが多くございます。
そのため過去の申請書類がもしない場合にはゼロから作成となり、その場合かなり書類の準備に時間がかかることが想定されます。
図面などがない場合には、建築士の方などに依頼が必要な場合もあります。
上記のように、申請や契約だけでもかなりの業務量になることが想定されますので、早めに準備や役所と協議しておくことをお勧めします。
以上、参考になりましたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。