■障がい福祉サービス事業における記録の残し方について
こんにちは。行政書士の浅井です。
本日は、障がい福祉サービス事業における記録をとる際の留意点や場面や状況に応じた記録の使い分けについてお伝えします。
もし事故やトラブルがあったときなどに、記録をしっかり残すことは、リスクの洗い出しや責任の所在、過失の有無、原因や改善策を究明できるものとなります。
また、実地指導などでは記録がないと業務を行っていないこととほぼ同じと解釈されてしまい、障害福祉サービス事業における生命線となるものです。
1.記録の種類
業務日誌、引継ぎ記録以外にも以下のものなどがあります。
・フェイスシート
・アセスメントシート
・プランニングシート
・モニタリングシート
上記については定型記述ではなく、自由記載であることが多いため、作成に慣れてないと事実なのか、自分が思ったことなのか区別できない、過度に長い、利用者の発言の意図がつかめない等の記録になったりしてしまうことがよくあります。そこで以下の点に留意して作成することをお勧めします。
2.作成のポイント
・主観と客観の使い分け
例えば調子が悪そうと書いてあるだけだと何が理由で悪いのか、誰がそう感じたのかがわからないため、その場合には、例えば目がうつろで作業が遅かったので、私は調子が悪いと感じた、また不眠であると言っていた、などと書くとその方の現在の状況が浮かび上がってきます。
・日々のテーマの共有
どんな目標や支援計画を立てていて、どんな成果や課題があって、今日変わった点があったか、あればそれはどういう理由で生じているのか?等を情報共有することで、より中身の濃い記録を残すことができます。
・文体の使い分け
場面や状況に応じて文体の使い分けをすることで、振り返りや整理に役立ちます。
〇逐語体(発語通りそのまま残す、最も齟齬が生じづらい、振り返りの一次資料に使える)
〇要約体(要点のみ記述、簡単な引継ぎに有効)
〇叙述体(客観的事実を時系列に記載、支援経過を順番に整理・理解する際有効)
〇説明体(支援者の主観的な説明や解釈を交えたもの、しっかり引継ぎをする際に有効)
〇その他に情報の整理術として、図式化する手法も有効
ジェノグラム(家系図)、ソシオグラム(人物関係図)、エコマップ(社会資源の図式化)を使い分けることで、人間関係を整理したり、支援機関との繋がりや今後繋がっていくべき支援機関等を記載し整理することで、利用者の困りごとへの将来的な解決を視野に入れたツールとして有効活用ができます。
記録は、利用者に対応していた時には気づかなかったことを、記録をとって初めて気づくこともあるので、記録の残し方についてバリエーションを増やすようにしましょう。
記録は単なる業務報告ではなく、利用者の実態や支援の方向性を浮かび上がらせるものにしていくことが大切です。そのためには、記録をとる支援者同士の、利用者に関する日々の情報共有が大事になってきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も一日皆様にとって素晴らしい日となりますように。