■障害福祉サービス事業所における、令和3年4月改定に伴う運営基準の変更について
こんにちは。行政所書士の浅井です。
4月からの改正に伴う主な変更事項をお伝えします。
努力義務のものもありますが、来年から令和5年度ごろまでに委員会を設置して開催することや指針の整備、研修の実施などが必要となります。それに伴い、運営規程等の変更も必要になってきますので、障害福祉サービス事業所様においては準備整備を進めるようお願いします。
1.運営基準に関する変更
(1)感染症の発生及びまん延の防止等に関する取組みの義務化
事業所において感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア)感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の使用も可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図る
(イ)感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備する
(ウ)従業者に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施する 事業所において感染症又 は食中毒が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
【対象】全サービス
【経過措置】令和6年3月31日まで努力義務
【参考】厚生労働省「感染対策マニュアル」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15758.html
(2)業務継続に向けた計画等の策定や研修・訓練等の義務化 感染症や非常災害の発生時において、サービスの提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(業務継続計画)を策定し、必要な研修及び訓練を定期的に実施することで必要な措置を講じなければならない。
【対象】全サービス 【経過措置】令和6年3月31日まで努力義務
【参考】厚生労働省「業務継続ガイドライン」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15758.html
(3)地域と連携した災害対策の推進 非常災害に対応するための訓練の実施に当たって、地域住民の参加が得られるよう連携に努めなければならない。(努力義務)
【対象】 療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、 児童発達支援、放課後等デイサービス
【経過措置】なし(努力義務)
(4)虐待防止の推進 虐待の発生又はその再発を防止するため、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア)虐待の防止のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等の使用も可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図る
(イ)虐待の防止のための研修を定期的に実施する
(ウ)上記2つの措置を適切に実施するための担当者を置く
【対象】全サービス
【経過措置】令和4年3月31日まで努力義務
【参考】厚生労働省 障害者虐待防止法通知・関連資料等 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/gyakutai boushi/tsuuchi.html
(5)身体拘束等の適正化
〇身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事 項を記録しなければならない。
◎身体拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
(ア)身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テ レビ電話装置等の使用も可能)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図る (イ)身体拘束等の適正化のための指針を整備する
(ウ)従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施する
〇(居宅・重度・同行・行動 援護は新規)
◎(新規) 【対象】居宅・重度・同行・行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、共同生活援助、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問 型児童発達支援、保育所等訪問支援
【経過措置】令和4年3月31日まで努力義務
※経過措置後身体拘束廃止未実施減算(5単位/日)
(6)人員基準における両立支援への配慮(育児・介護休業にかかる常勤要件の緩和)
・育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。
・「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。
・人員基準や報酬算定において「常勤」での配置が求められる職員が、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合に、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員基準を満たすことを認める。
・ 上記の場合において、常勤職員の割合を要件とする福祉専門職員配置等加算等の加算について、産前産後休業や育児・介護休業等 を取得した当該職員についても常勤職員の割合に含めることを認める。
【常勤】 事業所で定められている時間数(下限:32時間)
※ただし、育児・介護休業法 による育児の短時間勤務制度を利用している職員について は、(略)例外的に30時間として取り扱うことが可能。
【常勤換算】 事業所の従業者の勤務延べ時間数を事業所で定められている時間数(下限:32時間) で除する。
※育児休業者の例外なし
【対象】全サービス ★この規定を適用する場合、各種の変更や加算の届出に際しては、 「勤務形態一覧表」上で適用対象である旨を明示してください。
(7)ハラスメント対策の義務化 適切なサービスの提供を確保する観点から、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより従業者の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じなければならない。
【対象】全サービス
【経過措置】なし
(8)報酬算定要件等の会議等にかかるICTの活用
身体的接触を伴わず、必ずしも対面で行う必要のない会議等について、テレビ電話装置等を用いた実施が可能であることを明文化。
(9)重要事項の掲示について 運営規程等の重要事項を記載した書類を、事業所に備え付け、かつ、これをいつでも関係者に自由に閲覧させることにより、掲示に代えることができる。
(10)感染症対応に係る報酬の特例
・令和3年4月から令和3年9月末までの間、通常の基本報酬に0.1%を上乗せ
新型コロナウイルス感染症に対応するためのかかりまし経費が必要となること等を踏まえた対応。
(11)報酬(加算)に関する変更
処遇改善(特別)加算、特定処遇改善加算の変更
・処遇改善加算(4)、(5)の廃止
・処遇改善特別加算の廃止
・特定処遇改善加算の「事業所における配分方法」について、「経験・技能のある障害福祉人材」の改善額を「他の障害福祉人材」の「2倍以上」から「上回ること」に変更など。
以上、主なものを取り上げました。
今後の規程や指針の整備のご参考になりましたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。